アジアⅢ 旅って

 この投稿は1999年から2001年までのバックパックを背負って世界を放浪した話を書いてます

 あれだけ何か1つ買うにしても大変な思いをしたのはtime goes by

首にはビャクダンで作った長いネックレス 手首にはボダイジュの実の

数珠をつけ サンダル履きの毎日で足の裏が真っ黒になり始めたのは

そんな時が過ぎ行くないくらいだった

 我がヘインズは中継ぎ無しの連日連投 なか6日(主力メンバー3枚)

を基本としたのだが毎日の酷暑の為毎日の着まわしヘビーローテーション

なか1日の洗濯(手洗い)に酵素の力でコウをソウし色は白いが

全体のアウトラインがやっとくたびれ始めたくらいだった

眠れる獅子 我がメラニン色素は急に色めきあって日に日に

肌は黒さを増していき いっつも起きている獅子我がクセ毛は

水シャワーと粗悪なシャンプーのせいなのか より一層ボサボサ

具合が 『流浪』というイメージを湧かせた 

なんとなく アウトラインは旅人っぽくなった気がしていた(まだ3週間)

 このころになると顔見知りぐらいは出来 宿のあんちゃんやよく行く

屋台のねーちゃんは気軽に挨拶や声をかけてきた(今思えば当たり前)

知り合った旅人とシェアメシして色んな旅のノウハウや国の話を

した(もっぱら聞くことが多かった)『地球の歩き方』を持ってキョロキョロ

している大学生風の旅行者を見ると つい微笑ましくお爺ちゃんの目で

見てしまう(こちらもまだ3週間) たった3週間で常連と勘違いし

耳年増になっただけなのに それだけで旅人っぽくなったと錯覚していた

 そんな時旅の始めに出会い少しだけ世話をした青年に偶然出逢った

再会を祝し屋台でメシを喰うことになった この青年 申し訳ないが

たえずメガネのフレームのズレを気にして直してるような 自分以上に

オドオド系だった 旅ビギナーにして唯一こちらが心配してしまうような

青年だった

 その青年がどうだ 赤褐色になった肌とずれたメガネから見えるボンヤリとした

白い肌とのコントラストが何かを物語っていた 聞けば ラオス カンボジア

ヴェトナムを廻ってきたのだという 

カンボジアのアンコールワットで見た夕陽がすばらしかった だの

ヴェトナムで食べたバインミーはわすれられない だの 

ビールはラオス だの 青年はスゴイ高配当なカードを出してくる

ポーカーでいうとこのフルハウスってとこだ

これに対して こちらは

あの屋台で働くねーちゃん達は似ているからといって姉妹ではなく従姉妹とか

あの宿のクールなあんちゃんは実はヘビメタ好きでヘッドバンキングの姿はホットだ!とか

いつも通る道のノラ猫達に子ネコが生まれた とか

イセタンは今月何日が休み という

2のワンペアというショボイものだった 

呑んでいたビアシンが急に苦く感じた気がした

青年の生き生きした話は彼の全身から何かしらの自信のようなものを

感じられ 余裕が感じられた そして青年は言った

”いろいろなとこへ行き 見て 食べて 話してきた 短かったけど

楽しかったですよ もう帰ります”

 汚れたメガネのレンズの奥の優しい目をした青年と握手して別れた

握力が強かった

自分が行ったとこといえば 主にカオサン周辺及びイセタン

見てきたと言えば よく行く屋台の従姉妹の見分け方 クールなあんちゃんの

ちょっとした仕草やノラ猫の模様 

話したかといえば 頷いて話すより聞いてばかりだった

 旅の日常はイレギュラーの連続 話す言葉からして日本語というレギュラーを

スタメンからはずされる このイレギュラーを愉しんでこそいろいろな所へ

行け いろいろなものが見れ いろいろなものを食べ いろいろな人と話が出来る

 出発前に『自分探しの旅ですか?』と聞かれた事がある どうも自分は

これとは違う なんだか しっくりこないのだ

 『世界をこの眼で観てみたい』

 バンコクでボーっとしている間にも同僚や後輩達は益々美容の腕を揚げ

お客さんを綺麗にして喜ばしてるのだろう だったら自分はこの旅を後悔

しないものにしよう だったら単純にいろいろなものを見 食べ 話しかけ 感じ

だから又いろいろなトコへ行く そういうイレギュラーな日々を過ごすのだ

よって得た体験が後に何かに用立てたり利用出来たら儲けモンと思いたい

 そろそろ旅に出ようと本気で思った

                              1999/3月 バンコク

  旅のオマメ

 ビアシン…….タイのビール シンハービールのこと

 バインミー……フランスパン(米粉が入っている)にバターやレバーペーストを塗り甘漬の野菜 パクチー 唐辛子やハムをはさみヌクマムをかけたもの うまーい

 地球の歩き方….ガイドブック その昔この本の側面が青色をしていてこの本を持っている=日本人ということで悪い輩の目印になるので青くなくなったという 説あり 今では韓国や中国にこの本のそっくりなガイドブックがある

2010-01-28 | Posted in ISHIKAWA旅日記Comments Closed