旅日記 NEXT DOOR るるぶのあとがき

「一度この香りを嗅いだものは必ずこの地へと戻ってくる」

タヒチに魅せられた画家ポールゴーギャンは自伝の中でタヒチの印象をこう残している

自分は旅の匂いを嗅いでしまった

だから旅に魅せられ旅へ出る

何年経とうが旅への想いは尽きることは無い ただ旅の想いとは裏腹に齢を重ねるごとに記憶の色は褪せていき 風景はおぼろげになっていく、、、

旅の想いは今でも日常を営む生活の中にひっそりと心の澱(おり)となり奥底に身を潜めているが一度いつか嗅いだ匂いに触れた時 ゆらり舞い上がり 舞い上がってしまった澱は更に増していく

心の奥がざわつき目や耳が遠くなっていく

そんな時は大抵静かにゆっくりと沈殿していくのを待つだけだ

それでも日常の平衡感覚を鈍らせるウイルスがざわつき始めたらワクチンとして旅へと誘う

今回の旅も強烈な匂いを残してくれた

ペットロスという言葉がある 可愛がってたペットが亡くなった喪失感を言うらしい 

自分は旅ロスだ 旅から帰ってきての喪失感では無く はたして旅は次回も在るのだろうか? という「旅」の喪失を感じてしまう 

この数年重くなったバックパックを背負う度にふと淋しさを覚える 決して重さがしんどくなった訳では無い ただ いつ迄自分はこの様な旅が出来るか分からない それを思ってしまうのが淋しい

それでも旅をして行きたい、、、もっと

しかしそうもまかり通る歳ではなくなった 

それでも旅を想う、、、ずっと

今回友人達と旅をし楽しかった 「また行こう!」と気軽に言えない 自分の都合だけを考える事も年々出来なくなる 

そんな歳になった 

それでも旅はするのだろ、、、きっと


気づけは 老ける 振り返る 偲ぶ おっちゃんのるるぶになっちまった

還暦は赤いバックパックを背負って旅をするのだ

2015-03-16 | Posted in ISHIKAWA'SPAGE, ISHIKAWA旅日記Comments Closed