インド ダラムサラ 4 謁見後

この投稿は1999年から2001年までのバックパックを背負って世界を放浪した話を書いてます

 『謁見』という 自分自身インド最大のイベントを終えると本格的に大陸横断が 

迫っていた

 狭いチーズケーキみたいな形の部屋のカッチカチでシットリしたマットレスの

これまたチーズケーキみたいなベッドに寝転んでガイドブックを広げ

ぼんやりルートを考えていたが 地図を広げると目が閉じてくる

 ダライラマに逢うため旅人の髪をよそ行きにセットしたりカットしたり 自分自身

Tシャツに刺繍したりと夜なべ続きで寝不足であった

 そのまま ウトウト突っ伏してしまっていた どのくらい経ったのであろう 

壁伝いに音楽が聞こえる スロゥでメロゥな曲だった ウィスパーな話し声も

曲の隙間から聞こえてくる  隣に部屋が(しっかりした部屋)あるらしく

そこから漏れてくる どうやら欧米系の旅行者のようだった 

丁度子守唄代わりになると思い本格的に寝てしまおうと はだか電球

をoffにしてチーズケーキみたいなベッドで惰眠をむさぼり喰い始めたときだった

お隣からスロゥでメロゥな曲にのせてなんともシットリした声が我が耳の鼓膜

に爪を立てる そしてその声は大小のウネリを増し音楽のテンポとは時に

不協和音となっていた 環七の前のオシャレなカフェのテラスにいるようであった

 目が覚め頭が冴えていく、、、、、、、、、この声って、、、、、、、

ガバっと上半身を起こすと足元の先にあるガタガタな机と壁の間がボワっと

そこだけ明るくなっているのが見える いぶかしんで机をずらすと そこには

5円玉の穴を少し大きくした穴があいていてチーズケーキみたいな部屋を

少しだけ明るくしていた 壁から曲と声が漏れるが光はココから漏れていた

 これって 覗き穴!?

”スペシャルルームがある!”、、、、、この部屋を借りる時 宿のオッサンの

顔と言葉を思い出していた この部屋は格安物件のほかに訳あり物件であった

 ダライラマ謁見後だったためミョーに我がハートは良心というオブラートが覆い

心が静寂であった が そんな時

 森の奥の奥の湖に一塊のドロを投げられた感じだった、、、、、静寂な湖面に

波紋がジワジワ広がっていき波をたてる ドロはジワジワ溶けながら深く

沈んでいく、、、、、、、

 この部屋を借りたのは偶然ではなく必然と思い ”せっかく”も手伝って

”ではでは” と心にモミ手をしながら覗き穴に片目をあてる

 白い布団越しに白い足が見える  ワオっ♥

スザンヌ.ヴェガの『ルカ』という曲だと判る しかし 布団が邪魔だ 

布団がしきりにモゾモゾしている スザンヌヴェガの透き通った声もいいが

布団越しの女性の湿った声もいい しかし 布団が邪魔だ

で 布団が動かなくなった 暫くして ウィスパーな話し声に変わっていた

『淡白』 頭に2文字が浮ぶ もっと荒波を蹴散らす黒船だと勝手に思っていた

だけになんとも拍子抜けしてしまった 頭が急に冷静になると 自分が覗いて

いることになんとも やるせなさとせつなさが混じり情けなくなっていた、、、、

 すごすご机を壁に戻しベッドに横になる いつまでもウィスパーな話し声が

聞こえる、、、、、訳アリ物件の部屋の夜明けは遠い、、、、、、、、、、ぜよ

 明後日はとうとう インド~パキスタンの国境の町だ!!

 旅のオマメ

 環七…….とにかくトラックの往来が激しい道路 環状7号線 テラスのカフェがあるのかは知らない

 スザンヌ.ヴェガ….1987年発表の「Solitude standing」の「Luka」は日本でも大ヒット ちなみにこの歌の歌詞は 児童虐待を受ける子供の視点から書かれている

2010-11-08 | Posted in ISHIKAWA旅日記Comments Closed