中国 カイラス巡礼 6 シルクロード

この投稿は1999年から2001年までのバックパックを背負って世界を放浪した話を書いてます

パキスタンを前日に中国タシュクルガンでむかえた朝はやはり今まで見てきた景色

と違うどこか土煙が舞っているような乾いた朝だった

バスの時間までその辺をブラブラしうらぶれた(何処もそうだが)食堂の

厨房を覗く 厨房といっても1部屋に店と厨房が一緒になっている土間だ

大きな鍋に炊き込みご飯風(ピラフ)なものをかき混ぜていた

サイコロキャラメルぐらいの大きさのヒツジ肉に同じぐらいのほっこりした

黄色い野菜だご飯は肉の脂だろうかテラテラしていてベチャッとも思える炊き上がり

目にはあまり食欲はそそらないが好奇心がそそるが匂いを嗅いでやめた

このとき既にヒツジ肉の呪縛が我が身体にジワジワ蝕んでいき ヒツジのカルマ

地獄がゆっくりゆっくり渦を巻き始めその流れの中に入ってしまっていた

そういえば昨日妙にチンジャオロースが美味く思ったのは久々の牛肉

(ラホールのマック以来)だったからだろうか、、、

まだ暫くヒツジだな、、、諦観のため息が「メェェ」と聞こえてきそうだ

バスに乗り込み一路カシュガルへ 暫く小刻みに揺れていると ポプラ並木や

ロバ車を引く少年が薄汚れた車窓から見える 頭の中に喜多郎のシルクロード

のテーマ曲がリフレインする ついでに石坂浩二の声が聞こえてくるから

不思議だ シルクロードだ ついにこんな所まで来てしまった

感慨にふけ入ったり石坂浩二のことを思ったり喜多郎の私生活を思ったり

としていたのだが ハタと我に返り中国語の勉強をする

勉強といっても今は数字を覚えるだけだ 昨日ヒゲのイトウさんが中国語で

コミュニケーションをとっているのを見て自分が急に恥ずかしくなり

これではいけないと思い少しは力にならたらと思ったのだ

今(2012)思い出しても当時チベットのガイドブックを持っていながら

熱心に熟読していたのはチベット仏教の神様のページや人々の

生活習慣のことでチベットに夢をフワフワに膨らませていたのだった

地図やアクセスは目を通したという事務の判子押し並みなスルー具合だった

ことに「何やってんだ、、、」と当時の自分に叱咤しヒゲのイトウさんに

「貧乏くじ引いちゃったね、、、ドンマイ!」と慰め草を煎じてやりたい

3歳の子供の入浴のように数字を間違いながらも繰り返し数える

車窓から見える景色に心を奪われたり我に返って数字を呪文の

様に繰り返しているうちにカシュガルに到着

時間は既に夕方近くになっていた 街の中心の近くの通りでバスを

降りてイトウさんのナビで目的の宿に行く

着いたばかりのカシュガルは昔観た「NHK特集のシルクロード」の

イメージより人口密度が高く馬車が作った轍の道ではなくしっかり

舗装された道路 すれ違う人々の中は普通の格好をしている人が多い

インド人は皆ターバンをしてはいないし アメリカの黒人達にも

バスケットが苦手な人もいるように シルクロードのオアシス都市

とて同じだ パブリックイメージを期待してはいけない

舗装された道沿いを歩き「ココや ココや!」と着いた宿を見て

イトウさんを見る そして宿を見る あまりにも宿が大きく

立派に見えたからだ 門があり 宿までの道があり 庭に木が

植えてある マンモス学校というか伊東のハトヤというか

こんな感じの宿に自分が想像していた値段の部屋があるとは思わなかった

からだ 大丈夫なのだろうか、、、一昨日パキスタンの国境で両替を

少ししたのだが懐が心配になってきた 心配を他所にイトウさんはササー

と宿に入っていくのをアワワ、、と後を追う

フロントで中国語で何かを入っているイトウさんを横にキョロキョロ

落ち着かないでいると「1人20元や!」に「ヘ?」で答える

あまりの安さに拍子抜けしているとこういう宿にもドミトリーが

沢山あるのだという(この宿も自分の持っているガイドブックにあった)

安堵と驚愕がゴッチャになって妙な高揚気分のまま リノリウムの

廊下を渡り部屋を開けるとベッドが置かれただけの簡素な部屋に

急に総合病院の病室みたいだと思う

そう そしてこの部屋で本当に病人が出ることとなった

それは→こちら「カシュガルにて

喜多郎……NHKシルクロードのテーマ曲担当 キーボーディスト、、というらしい学生時代のニックネーム キタロウ(げげげの鬼太郎)から命名

石坂浩二…. 本名武藤平吉 大橋巨泉が昔「ヘーチャン」といっていたのを思い出す シルクロードではナレーション担当

慰め草…..心を慰める材料

伊東のハトヤ….伊東のホテル 30代以上の静岡県民なら4126体操が分かる

1人20元…..当時のレートで280円ほど 1元13~4円だった

 

 

 

 

 

2012-09-02 | Posted in ISHIKAWA旅日記Comments Closed