中国 カイラス巡礼11 アリ
この投稿は1999年から2001年までをバックパックを背負って世界を放浪した話を書いています
皆様 ご無沙汰しております すっかりこの旅日記がライフワーク的な時間のとり方をしてしまってます、、、、、
もう少しペースを上げたいと思うしだいです
まずはここを参考に「アリの公安と公衆便所」
カシュガルを出発して4日がたった イトウさんのブログで綴っていたように
紆余曲(骨)折して ようやくアリという街が見えた 曇りガラスのコンタクトを
したように 画素数が荒い景色に自分の目には映る
きな粉を街全体にぶちまけました、、、そんな街の風景だ
幼い頃読んだ火星都市の想像図とも似た 殺風景な大地に突如アリという街はある
やっとの思いで着いたのでそれなりの感慨にふけ気持ちを高ぶらせるのかと思っていたが
まったく気持ちが上がってこない その代わり幾重にもどんよりした心のモヤは不安という
低気圧がグルグル覆っていた なぜならこの街へは公安(警察)に自首する為に来たからだ
「自首」というのは日常平々凡々と過ごしてきた日々をなぎ倒すだけのヘクトパスカルの
数値を持っていると思う
アリの街手前でトラックから降ろされトラックの運ちゃんは右手の親指 人差し指 中指を
こすり合わせてお金を請求する、、、このジェスチャーは世界共通なのだろうか?と思いながら
500元(約7500円)払うヒッチハイクといえどもここでは裏ビジネスだ
中国では外国人を乗せてはいけないらしい ましてここ一帯は外国人未開放地域の為外国人を
乗せている所を公安に見つかれば罰金が待っている 運ちゃんにとってもオイシイだけでは無い
街の中心部へと歩く足取りが重いのは久々に背負うバックパックの重さだけではない
カシュガルを出て外国人未開放地域(外国人以外は入っちゃだめよ)に入り公安の目を
意識し公安を避けるようにしてきたので未解決事件の犯人の気分が心と足取りを重くさせる
しかし このどんよりした気持ちを汲んでも アリという街をグルリ見渡し思うのは
前途が無いように思う(個人の感想です)荒涼とした大地は色彩に欠け
近代中国の建物ばかりで面白みに欠け 無理やり造った感のある街並みは好奇心に欠け
通り過ぎる為の街に見え人々にも生活向上意識に欠けているように思う
砂を舞い上がらせる一陣の風すらやる気なく頬を撫でる
ここにしばらく逗留すると想像するだけでゾッとする もしそうなったらノイローゼになりそうだ
足取り重く公安へ行くと担当者が不在ということで街に飯を食いに出てぶらぶらする
まったく持って面白みにかける街だ 指定された時間に再び行くと1人の女性公安員が
「さっき来た人達?!」というような感じでここだと手招きする
窓から陽の光が薄暗い部屋に差込み華奢な女性公安員のアウトラインをくっきりさせる
この公安員の顔が浅黒く見えるのは陽をバックにしているせいだけでなくチベット人だからだろう
名を「デキ」さんと言う デキさんは英語ができるようで イトウさんとのやり取りでここまでの
罰金300元(約4500円)を払い
旅行許可書をテキパキ作成してくれる
拍子抜けする思いでデキさんを見ていた 勝手に想い描いていたここでのシュミレーション
ではチクチク嫌味を仏頂面で言われ(もちろん中国語)
賄賂を要求してくるのでは、、とまで思っていた
スムーズな一連の手続きがここは中国なのか?とまで思ってしまう
きっとそれだけここを利用してカイラスを目指していったバックパッカーが多いのだろう
その轍がこの流れるようなルーティンの1つだ
旅行許可書があれば未開放地域であっても公安員にとがめられることは無い
駄目だといいながらお金で解決出来てしまうこの国のシステムの矛盾と合理性に
少々鼻白んでしまう だったら最初から未開放地域手前で入域料とでもして取れば
いいのに、、とこの国の不条理に少々の憤りも覚える
と まあ 許可書発行料50元(約750円)払い デキさんはさっさと腰を上げるのかと
思いきや 我々の宿を紹介してくれる おまけにヒッチハイク情報も教えてくれる
斡旋に漏洩だ! デキさんよ なぜだ? 中国国内でこれだけのホスピタリティーな
ことを受けたことが無い 今まで人に聞いて帰ってくる答えはバラバラだが皆一様に
ぶっきらぼうだ なのにデキさんは小汚いバックパッカーの為に尽くしてくれる
そう 中国に入って「人に尽くす」と感じたのは初めてだ
チベット人の魂が我々日本人と同じ仏教徒であることにシンパシーを感じているから
なのだろうか それともこの街で面倒な事が起きないようにサッサとここから出てって
ほしいからなのだろうか それとも目の前の漆黒のヒゲのイトウさんがタイプだからなのだろうか、、
この後デキさんは我々の宿にきて明日出発するトラックを見つけてきてくれた
「旅行代理店みたいやな、、、」と苦笑いするイトウさんの顔にもこれまで思う様に
進まなかったヒッチの旅がここにきてスムーズに進んでいるのに戸惑いを感じている
ようだった
明日朝6時にトラックが出発するというので色めきたった我々和製ホール&オーツは
晩飯と食料調達へと夜の街へ繰り出す 夜といってもまだ陽は明るいのは時間が
北京時間に合わせているからだ 感覚はアリの街がPM9時で日本の夏のPM6時
色彩に欠ける街でも所々看板に色が灯り人々を呼び寄せる
そのうちの黄色い看板の一軒に入る ギョーザ屋だ
スープギョウザと揚げギョウザだったらしいが「ギョウザ」としか憶えていない
ただ味は高めに設定した期待のバーに体当たりした、、という味だったのは覚えている
味はともかく食事らしい食事がうれしかった 店内が明るく活気がある
我々がギョウザをむさぼる横で テラテラに顔を赤くしたおっちゃんが
マイク片手にカラオケで熱唱している 地声をただボリュームを上げてだけのだみ声だ
カラオケはここでも人気のよう この街では娯楽が少ないのでろう
こんな食堂にもカラオケはある もしかしたら英語を話せるデキさんは誰かと
英語を話すのがこの街での娯楽の1つなのかも知れないとボンヤリ思う
旅のオマメ
北京時間…….中国はあれだけ広いのに国内で時差を設けていない為 東と西では同じ時間でもだいぶ感覚がちがう西のウイグル地方では稀にウイグル時間がありバスの出発じかんの確認が厄介だ
旅行許可書…..これ
開くとこうなってる